結局抜歯非抜歯論争というのはよりよい治療を追究してきた歴史であるという話
先日触れた歯界展望連載開始の掲載誌が送られてきました。これから長期にわたってMOOテクニックのエッセンスを連載していく予定ですが,初回1月号は抜歯と非抜歯の論争がテーマとなっています。現在のエッジワイズシステムの基礎となっているツイードテクニックと,私たちが行っているMOOテクニックの歴史的,概念的比較論です。
矯正治療と抜歯・非抜歯というテーマでは,なぜか矯正専門医ほど非抜歯などだめだといい,一般歯科医で矯正もやっているという先生ほど非抜歯矯正やってますというところが多いと思います。
また,100%非抜歯でできるとか,非抜歯など絶対無理だとか,ネット上の情報は錯綜していて患者さんにとってはいったい何を信じたらいいのかわからない。実にひどい状況ですね。
これは焦点を抜歯か非抜歯かということに持っていくからこんなことになってしまう訳で,本来いい治療をするために抜歯が必要なら抜歯をしなければならないし,必要なければ非抜歯でできる。患者さんによってそれぞれ診断する。それだけのことだと思うのです。
ではなぜ矯正専門医で非抜歯などダメと言うドクターが多いのか?これは歴史を振り返ることである程度明らかになります。
約100年間のマルチブラケット法の歴史の中で,矯正歯科医はそれぞれがより良いクオリティの結果を残そうと努力してきた。その中で抜歯をしてもきちんと治せる方法が開発され,そして非抜歯でもきちんと治せる可能性を模索してきた。
そう,焦点は『きちんと治す方法』であるべきなのです。ところが一度抜歯するともとに戻すことはできないし,健康な歯を抜く以上のメリットがあることを矯正歯科医は示さなければいけない。そしてもちろん患者さんにとってしても抜歯か非抜歯かというのは大きな選択肢であります.
私は矯正専門医で,できる限り非抜歯が良いとは考えていますが,抜かないとクオリティが落ちると思われる場合は抜歯の判断をしています。
それでも混合歯列期(10歳くらい)から開始した場合の非抜歯治療率は95%以上,永久歯列に入ってからでも80%以上は小臼歯非抜歯で治療しています。
これまでの抜歯論争を振り返って,現在私たちがたどり着いている技術と考え方を整理することは,そのままよりよいクオリティの追求過程を辿る作業であり,とても楽しく原稿を書かせていただくことができました。このような視点で抜歯非抜歯論争の歴史を振り返った論考は他にないと自負しています。ぜひ歯科関係者の方々はご一読いただければうれしいです。ただ,比較対象として挙げたツイードテクニックと言えば世界中で使われている矯正テクニックのスタンダード。ゴリアテに立ち向かうダビデのような気分です。ご意見コメントなどございましたらよろしくおねがいします。
このような突飛もない原稿を雑誌掲載まで進めてくださった医歯薬出版の方々,特に編集担当の古林さんにはとてもお世話になっております。まだまだこの先長いですが,宜しくお願いします。
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